2023/08/29 17:23

石川淳の短編集を読んでます。
現在、「処女懐胎」の序盤。「焼跡のイエス」とこちらの「処女懐胎」を目当てに短編集を読み始めたので、この先が楽しみ。「焼跡のイエス」は読み終わりました。


たかが3~4作品を読んだ身で言うのも何ですが、石川淳の文体は個人的には親しみやすくて好きです。先日まで読んでいた田中英光とは全く異なった文体の為、読み始めは僅かな気合が要りましたが、読み進めていく毎にどんどん惹かれていきました。詳しくは知りませんが、饒舌体ってやつなんですかね。こういった文体憧れますナ。


こちらの短編集の中で特に心に残った作品を思うままに書き下します。
(ネタバレしないようにふんわり書きます)



「山桜」
あるフーテンが親戚にお金を借りに行く話。
こう書くとどこかほのぼのとした物語のように思えますが(序盤はほのぼのしている)、実際は真逆。ミステリアスな展開に思わず三鷹駅のホームで「おお...」と声が漏れてしまいました。石川淳作品に限らず、最近読んだ作品の主人公にフーテンが多いのはデカダン系を狙って読んでいるからでしょうか。


「マルスの歌」
上述の通り「焼跡のイエス」を目当てに読み始めた短編集ですが、正直「焼跡のイエス」よりも心に残ったのはこの「マルスの歌」。読後色々調べてみると、どうやら第二次世界大戦直前に書かれた作品で、反戦的な内容が故当時は発禁になった模様。たしかに、な内容。
国民が一丸となって戦争へ向かって行く。戦意高揚の歌を合唱し、「バンザイ!」と叫ぶ。そんな普通じゃないことが普通に思えてしまう異常な社会情勢に疑問符を抱き続けている主人公の話です。面白かった。


こちらの短編集とは別に「普賢」の単行本も買ったので、"32歳夏の課題図書"を読み終えたら読みたいと思いつつも、積読そこそこ有るし、読みたい本も日に日に増えるし、いつ読めるのやら。
読書以外にもやること(やりたいこと)が多くて時間が足りない。空っぽ頭で必死に考えた結果、睡眠時間が要らなすぎるという結論に至る。早速ショートスリーパーに成るべくインターネットで「ショートスリーパー なりたい」で調べたところ、「結論からいうと、残念ながらショートスリーパーは目指してなることはできないことが分かっています」との記事を発見し、愕然。


きづく