2023/08/17 11:47

近所の図書館でこれらの作品を借りました。


・田中英光傑作集(西村賢太)
・わが町・青春の逆説(織田作之助)
・焼き跡のイエス・処女懐胎(石川淳)


32歳、夏休みの課題図書です。ティーンエイジャーのようなセレクト。なんせ、先日、坂口安吾の「堕落論」を読んだのですから。ならば、上記のセレクトも納得でしょう。


「堕落論」の文庫本は学生時代から持っていたのですが、頭から最後まできちんと読んだのは今回が初めて。長い間、本棚の片隅に放っておいてごめんヨ。「堕ちよ、そして、生きよ」の精神。ダダイズムってやつでしょうか。「堕落論」もですが、「日本文化私観」や「不良少年とキリスト」も面白かった。


私自身、上京以来、自らの首を締めながらも怠惰な生活をじんわ~りと送っておりまして。その結果、数年前に初めての"人生のどん底"というヤツにぶつかってしまいました。「これ以上行くと死ぬぜ、あんた」と誰かに言われたような気もします。その後、色々な手法を駆使し(その中の1つが"酒精中毒朧夢"です)、どん底からシラフで帰還した私ですが、あのどん底をきっかけに物事の考え方や生き方がかなり変わりました。今思えば、あのじんわ~りとした堕落も私の人生において必要なものだったのかもしれません。


まだ1回しか読んでおりませんので、坂口安吾が指す"堕落"はどのレベルの"堕落"だったかはわかりかねますし、"てめえの安い自堕落と戦後社会に鋭い切り込みを入れた堕落論を一緒くたにすんな!"と言われれば、私は砂浜に腹這いになり、泣きながら蟹と戯れるまでです。そんな人間ですので、田中英光短編集のトップに収録されていた「オリンポスの果実」の主人公をどこか他人だと思えないような自分がいる訳であって。



きづく